みなさんは普段睡眠を十分にとれていますか?
厚生労働省の平成30年国民健康・栄養調査によると21.7%もの人が、「ここ1カ月間、睡眠で十分に休養をとれていない」と回答しています。また一般に一日に6~8時間程度睡眠が推奨されていますが、一日の睡眠時間が6時間未満であると答えた人が全体のおよそ35-40%いたとのことです。現代社会では、非常に多くの人が普段十分な睡眠をとれていない状況にあると推察されます。睡眠不足は翌日の活動のパフォーマンスを低下させるだけでなく、慢性的には健康を著しく害する恐れがあります。
さて私はこの度、フィリップス社のSmartSleepディープスリープヘッドバンドセットのアンバサダーとなりました。本製品は睡眠不足の現代人の眠りを改善するために開発されたものです。本記事ではこの製品についてご紹介します。なお、本記事の執筆者はSmartSleepディープスリープヘッドバンドのアンバサダーとして、フィリップス社より当該機器の無償提供を受けており、本記事は純粋な第三者のレビューではないことを留意ください。
目次
体を休めるレム睡眠、脳を休めるノンレム睡眠
まず睡眠には大きく分けて、レム睡眠とノンレム睡眠の2種類の段階があります。レム睡眠のレム(REM)はRapid Eye Movementの略です。眠りについてすぐの人をみるとまぶたの裏で目がキョロキョロと動いているのを見たことがあるかと思いますが、あの時がレム睡眠です。レム睡眠は主に眠りのごく初期の段階です。レム睡眠では、主に筋肉などが休まる一方で脳は活動を続けています。一方で、睡眠中には脳をしっかりと休めることが、翌日のあらゆる活動のパフォーマンスを維持する上で重要です。レム睡眠の次に訪れる睡眠段階であるノンレム睡眠では、脳の活動は少なくなり脳を休めることができます。良質な睡眠をとるにはこのノンレム睡眠を十分にとる必要があります。
浅い眠り、深い眠りとは?
さて実はノンレム睡眠には、脳波のパターンから分類してステージ1~3の3段階があります(米国睡眠医学会の基準による)。一般にステージ1・2は浅い眠り、ステージ3は深い眠りと呼ばれます。このノンレム睡眠の睡眠ステージが深くなるにつれて、より脳活動が少なくなり、脳を休める効果がより高くなるといわれています。つまり、睡眠で体だけでなく、脳もしっかりと休め、心身共に健康に保つためにはステージ3での睡眠の長さが重要になります。
SmartSleepディープスリープヘッドバンドは深い眠りを延長する
SmartSleepディープスリープヘッドバンドは、ノンレム睡眠のステージ3を延長するために開発されたウェアラブルデバイスです。SmartSleepディープスリープヘッドバンドは、専用のセンサーを介して脳波のパターンを測定し、ノンレム睡眠のステージを判別します。そして、睡眠中の着用者がノンレム睡眠のステージ3に入った時に耳元から柔らかなオーディオトーンが流れるという仕掛けです。過去の研究では、このオーディオトーンを用いることで、ステージ3の時間を延長できることが示されています(Tononi et al., 2010)。
アスリートは特に眠りの質を保ちにくい
アスリートも睡眠の問題を抱えがちです。トレーニングによるストレスや練習時間の確保、試合前のストレス等でアスリートの睡眠は、時間・質ともに一般人に比べて低くなりやすいことが研究により明らかになっています(Simpson et al., 2016)。アスリートの睡眠不足はトレーニングの質の低下や試合でのパフォーマンス低下に繋がります。一般人のみならずアスリートにとっても良質な睡眠を確保することが健康や仕事・競技のパフォーマンスを維持するために重要です。
実際に使用した感想
フィリップス社様よりSmartSleepが届きました。
中身はこのような感じです。
説明書の男性のように頭に被って使用します。睡眠中に脳波に合わせて耳元からオーディオトーンを鳴り、深い眠りを延長します。
睡眠時の脳波を測定するためのセンサーパッドです。耳の後ろ側に貼りつけます。30枚(90日分)付属しています。
専用のアプリで睡眠のスコアや睡眠のパターンを確認できます。
例えば、上の画面を見ると睡眠時間は6時間16分と短めですが、オーディオトーンによる睡眠ブーストで46分間も深い睡眠の時間を延長しているようです。
睡眠中は上の画面のように深い睡眠とレム睡眠を交互に繰り返しますが、1回目と2回目の深い睡眠の時にオーディオトーンを流して睡眠ブーストしているようです。なので、オーディオトーンはぐっすり眠っている時にしか流れず、実はどんな音なのかわかりません。
ここからは、あくまで個人の使用感想であるかつプラセボ効果もありえることに留意してお読みください。SmartSleepを使っている間に2度ほど早朝(6時スタート)から実験をする機会があり、両日とも睡眠時間は6時間未満だったのですが実験中やその後の日中の仕事で眠気を感じることなく活動できました。また、以前は夜中に何度か目が覚めることがありましたが、夜中に目が覚める回数は少し減ったように思います。
一方で、十分に睡眠がとれるような時に、日中の活動のパフォーマンスがさらに良くなるということは自覚しなかったです。そもそも、SmartSleepは睡眠時間が短い人向けに睡眠の質を高めることで睡眠不足を補うために設計されたものなので、睡眠の質に関係なく睡眠時間が十分であれば思うような効果はないということなのかなと思います。
慢性的に睡眠不足な人は購入を検討してもいいかも
以上、SmartSleepディープスリープヘッドバンドのレビューでした。個人的には、特に睡眠時間が短くなるような時に使っていこうと思います。もし、慢性的な睡眠不足で悩んでいるような人がいれば、購入を検討してもいいのかなと思いますが、それなりに高価(メーカー希望小売価格: 46,618円)ですので、日常的に十分な睡眠時間を確保出来たりあるいは日中に自覚的な睡眠不足感(眠気など)を感じない人には必ずしも必要ないかなと思います。本レビュー記事で、こんな製品があるんだと知ってもらった上で、本当に必要かどうかご判断頂く材料になれば幸いです。
参考文献
- 厚生労働省 平成30年国民健康・栄養調査 https://www.mhlw.go.jp/content/000615325.pdf
- Tononi et al. (2010) Enhancing sleep slow waves with natural stimuli.
- Simpson et al. (2016) Optimizing sleep to maximize performance: implications and recommendations for elite athletes.
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